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2003年03月13日
2月13日 シアターコクーン「ニンゲン御破産」
松尾スズキの芝居は「キレイ」以来。今回は中村勘九郎が主演するということもあって随分前から話題になっていた。はっきりいって貧乏な状況で私には芝居を観る経済的余裕はないのだが、雑誌の取材で稽古を撮影させていただいた時、強烈に面白くて、以来楽しみにしていたのだ。
今回は幕末が舞台の時代劇で3時間半の大作だ。幕末という時代は面白い時代だ。現在と似ていることも多い。で、芝居だが、やっぱり面白かった。いい演劇に出会うと観ているうちに何か、もしかしたらたった今から世界が変わってゆくんじゃないか、みたいな感覚に襲われることがとあるけれど、松尾スズキの芝居はどんどん現実の世界に戻され、というか現実のただ中にいるということがリアル感じられてくる。まだ公演中なので詳しく書かないけど、特に最後に客席のあんたたちの現実こそ演劇的だし、リアルに見る対象なんだよ。みたいな幕切れはなんだか凄くよかった。片桐はいりさんや阿部サダヲさんらの異形の者たちの様もいつもながらよかった。それにしても松尾さんは稽古場でも思ったけど立っているだけで足の形だとかそこはかとなく面白い。こうゆう細かい面白さって大事だ。今の時代、右とか左とかわけても何も言えてないし、大きく何でも含めて言えることなんて無くて、細かいことにしかリアリティーは宿らないのだ。
客層は安い服着ているけど頑張って来てるフリーター系底辺寄りのひとと、高い服着た業界勝ち組系のひとが入り混じった文化村の夜。
投稿者 Ken Kitano : 2003年03月13日 23:38