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2004年08月04日
8月4日 もうひとつの東川町フォトフェスタ
北海道東川町フォトフェスタに行ってきた。
東川町は1985年に「写真の町宣言」をし、以来毎年夏に東川町フォトフェスタが開催されている。今回も(分からないがたぶん毎回そうなのだろう)4つの東川写真賞(海外作家賞、国内作家賞、特別賞、新人賞)の質の高い展覧会と興味深いいくつかのシンポジウム他関連行事が開かれた。
しかし人口7000人の町の税金を使ってやる行事に住民の姿はまったくなく、町民不在の催しに切実な焦りを感じた北海道の写真関係者から、「町民と一緒に何か作って残せないか」と声をかけられて参加した私としては、この文化事業(公共事業)をめぐって様々な人の立場と思惑を見ることになり、正直とっても疲れて帰ってきた。
今回町の人と作った「our face project in Higasikawa」というショートムービー(映像の林君の労作)も町の人は撮影に参加した子供たちなども含めて足を運んで下さったものの、外から来た関係者は一人も見に来ないという寂しい結果に。これには関わった皆さんがっかりしていた。なんとなく「もうひとつの東川フォトフェスタ」だったなという感。たしかに宣伝不足の部分はあったようだ。あとで「知らなかったよ。言ってくれれば行ったのに」と言うゲストの方も何人かおられた。一応公式行事としてプログラムに入っていたのだが。
実際6月に取材に行ったときに東川町を随分走り回っていろいろな人に聞いたけれど、フォトフェスタをやっていることを知らない人は余りいなかったが、実際に足を運んだ人は皆無だった。まともに市町村合併が話しあわれている町の血税を使う行事として町として「あれれ、なんだろうこの距離感は」という感じを受けた。別に一般のひとが参加して何かやることが必ずしもいいこととも思わないけどね。
そんな東川で唯一、海外作家賞受賞のフランス人作家のアントワーヌアガタさんと出会って話せたことは(あと岡本敏子さんとメキシコのことを少し話せたことも)私にとって数少ない嬉しい出来事だった。アガタさんの写真は酒とドラックとセックスと放浪の凄まじく深く濃密な私小説的な写真。
http://www.magnumphotos.co.jp/news/index.insom.html
それにしてもどうなのだろう。写真関係者が多数訪れて町税で数日間写真の話を盛んにして、町民が用意してくださった宴席でも写真関係者ばかりで楽しくビールを飲み(私も飲んだけど、たくさん)、東京に帰っていく光景というものは。あまりに無邪気とうか、日本はやっぱり田舎なのか。
また、東京から来たゲストや招待の写真関係者ご一行は一日の行事が終わるとあっとゆうまにバスで涼しい山の上の温泉地へ行ってしまうというのもどうなのだろう。以前夕張映画祭に行ったみうらじゅんさんが夕張の居酒屋で好きでない外国の監督とカウンターでかちあったということを以前「やるまん」で話していたが、そうゆう光景は東川にない。(だから地元の商店にお金も落ちない)ちなみに私を含め学生やボランティアは近隣の家にホームステイしたり学校や病院の遼に泊まっていた。完全に2分されている感じ。以前行ったヒューストンフォトフェストのようなあちこちでさかんに写真を語り合ったりするような雰囲気作りが足りないような気がした。いろんなことを工夫すればもっと開かれた、たくさんの人が自然に関わることできるのに、もったいない、とにかくそう思った。
投稿者 Ken Kitano : 2004年08月04日 11:15