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2004年10月24日

10月24日 六日町で地震に遇う 

 最初何が起こったか分からなかった。前日から、ある酒造蔵の撮影を終えて車で帰途についたところだった。とにかくクタクタだったので高速にのる前に温泉にでも入ろうと、六日町駅の案内所ですぐ近くの温泉の銭湯の場所をきいて、銭湯に向かって駅前の商店街の信号に止まろうとしたときだった。激しい横揺れ。商店街の歩道の天井がバリバリ音をたてて揺れている。車の屋根に何かがあたった音がした。小さくひとの悲鳴も聞こえた気がする。揺れはなかなか収まらない。弱まったりまた強くなったり。ひとしきり落ち着くと、一斉に町中の電気が消えた。信号の灯も消えた。暗くなったあちこちの建物から人が出てくる。なぜだろう、地震のあとひとはみな地べたにしゃがみ込む。
 とりあえず風呂はなしにして六日町インターに向かう。町は真っ暗。くらがりをよく見ると人が歩いている。六日町インターチェンジの建物は非常用電源があるのか、明かりがついていた。しかし通行止め。とりえず車の道具入れから懐中電灯をだして公衆電話で自宅に電話とトイレ。車内でニュースをききながら1時間ほど様子をみる。その間も強い余震が時々起こる。一番強い揺れの時、遠くの空が白く光った。1時間経っても国道の信号もつかない。早く新潟を離れるほうがいいと判断。国道17号線を南へ。幸い対向車が絶えないので国道は寸断はされていないらしい。ラジオから各地の情報が入って来る。どうやら被害は新潟中心で東京方向は大丈夫そうだと分かる。それにしても灯は車のヘッドライトと月明かりだけ。ひたすら真っ暗な国道を走る。町の人もドライバーも落ち着いて行動している感じだ。静かだ。途中セブンイレブンによる。暗がりの中、店内に結構人がいる。驚いたことに店内の灯や冷蔵庫は消えているのにレジの電源は生きている。さすがコンビニである。近所の人が電池や水を買いに来ていた。さっそく冷たいパスタとパンを食べて落ち着く。
 さらに越後湯沢、石打あたりの高層ホテルは灯がついている。おそらく非常用電源があるのだろう。
ところどころ電車が立ち往生している。湯沢でガソリンスタンドが一軒開いていたので給油する。これで安心。とりあえず東京まで帰れる。
 もうすぐ群馬県だという山間で電気がついた建物があったので車を止めると町営温泉で、なんと普通に営業していた。風呂上がりのひとが普通に食堂でテレビでニュースを見ている。ちょっと浦島太郎な感じだ。この先も長いので自分も風呂に入って小休止する。こんなときに風呂にはいいるのもどうなのか、とも思ったが、どうやら被害地域を脱出した感じなのでここで一休みする。ふたたび走り出す。ラジオでは渋川伊香保インターから高速を走れると言っているのでとりあえず渋川をめざす。県境あたりから電気がつきはじめた。月夜野インターから上りが入れたので高速に。高崎を過ぎたたりでNHK以外のラジオも入りはじめる。TBSで椎名林檎の曲がかかっていた。すごく安心した。音楽っていい。
 夜12時ころ帰宅。帰ってこれてよかった。うちの奥さんも起きていて、安心した様子だった。
 

投稿者 Ken Kitano : 2004年10月24日 12:45