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2004年11月20日

11月16日 鴨川

 6時に車で家を出て房総の鴨川へ。久しぶりの里山の景観もすっかり秋だった。鴨川はourfaceプロジェクトの転機にもなった土地。4.5年前に、たまたま大原の知人の家に行った帰りに鴨川で整骨院を佐藤ちくえいさんの所に寄った。「最近こんな作品を撮っている」とourfaceの話をしたら「オレの患者さんに漁師さんがいるから撮らせてもらえば」と紹介されて漁師さんたちを撮影できた。今思えばこの撮影は大きかった。漁師さんたちが後日出来上がった写真をみて「これはたしかにオレたち漁師の顔だよ」といい、何やら写真としきりに対話すしているのを見て、こんなふうに案外多くの人が自分の属するものやアイデンティティーについて具体的に写し出されるということに何がしかの興味というか確認作業をするものなのだと感じた。それにこんなややこしい撮影のお願いも、きちんと話せばたいがい分かってもらえるということも知った。とはいえ当時は撮るだけで精一杯。インタビューなどする余裕もなくて、今回原稿を書くのに改めてインタビューだけの再取材をしに足を運んだ次第。
 今回は農業生産者の方を取材した「みんなみの里」事務局の清水さん、鴨川漁協巻き網漁船漁師の高松さん、同じ船に乗る鴫村さん、村上さんはお忙しい中、「みんなみの里」の目指すグリーンツーリズム構想のこと、今年の台風の被害の話を伺う。高松さんは「経験したことのないくらいの不漁」がもう三年も続いていること、就職難もありここ数年20代で漁師の仕事につく若者が出てきた話しなどを聞く。漁師さんの業界も様々な業種と共通する世代間認識の違いの問題を感じる。もうひとつサーファーの人たちのことをどうまとめようか悩んでいたら、期せずして漁師の鴫村さん、村上さんから伺うことができた。漁師は波があると仕事が休み。サーファーは波があると海に行く。両者の都合がぴったりあうのでサーファーで漁師の仕事に着くひとは多いそうだ。お二人の話しはとっても面白かった。事前に読んでいた「サマーデイズ〜伝説のサーファー大野薫・スタイルの記憶」(原健著、幻冬舎刊、面白い!いい本です!)を読んでいても思ったのだけど、サーファーのひとの言葉ってとっても簡潔だ。余分なことを含まない物言いにある一点にスマートに着地するその人なりのスタイルだとか、複雑な意味あいきちっと含んで、それをふわっと軽く超えてしまうような独特のリズムがある。そうゆうシンプルな言葉が普遍的だったりして新鮮だった。サーファーは自分ともっともかけ離れたジャンルだけど読んだり聞いていると思いがけず興味が沸いた。自分がやることは絶対ないと思うけど。
 夜は佐藤ちくえいさんとバー「風雲」。久しぶりに風雲の杉山さんと写真のことなどを話す。

投稿者 Ken Kitano : 2004年11月20日 10:01