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2005年03月04日
3月3日 最近の積読
・「浅草博徒一代」(佐賀純一著/新潮文庫)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101075212/qid=1109899990/sr=1-1/ref=sr_1_0_1/249-7567347-2564337
医師の著者が往診のかたわら、いまわの際の浅草のヤクザの親分の所に通って聞き書きした評伝。生の言葉って凄い。関東大震災の時の深川、浅草の賭場、刑務所、満州、 吉原、戦後の闇商売・・等々。当事者本人が語る濃密な昭和のアウトローの自分史にして昭和史。映画で見るのとはまったく違う。読みながら、賭場の光景が、下町の湯屋の雰囲気が、満州の処刑場の張りつめた空気が、刑務所で週に一度出るカレーライスの湯気が、ありありと見えるようだ。この本は珍しく正月に兄に勧められて知ったんだけど、知られざる名著と言っていいんじゃないだろうか。それとも既に有名な本なのかな。著者の他の本も読みたくなった。
・「焦痕」(藤沢周著/集英社)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/408774745X/qid=1109899961/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/249-7567347-2564337
今の加速度的に二極化する現代に、リスクを抱えて生きる様々な人々の、焦げるような怒りと焦り。火傷しそうだよ。そうした主人公の縦の時間軸が、たまたまその空間に居合わせた見ず知らずの他人の現実へとするりとスライドして横へ移動して再び別な縦の物語へ。11の別な主人公の短編が「擦れ違い」という接点で繋がり、続いてゆく「焦燥」の連鎖に、眩暈を覚えながら読み進めてしまう。自己と他者の境界の不確かさを自分のこととしていつの間にか感じてしまうのでした。
私の写真が表紙に使われています。書店で見かけたら是非手に取って下さい。
・「希望格差社会」(山田昌弘著/筑摩書房)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480863605/qid%3D1109900036/249-7567347-2564337
まったく、完膚なきまでに、うわ〜、という感じ。(どんな感じだ!)リアルです。びっちり現実的に揺るぎなくリアルです。(日本語になっていない!)”ニート”の玄田有史さんの本も昨年僕には衝撃的に新鮮で説得力があったけど、この本も・・。「希望格差」というタイトルからして、もうぐうの音も出ないくらいぴったりでリアル。『職業、家庭、教育、そのすべてが不安定化しているリスク社会日本。「勝ち組」と「負け組」の格差が、いやおうなく拡大するなかで、「努力は報われない」と感じた人々から「希望」が消滅していく。将来に希望がもてる人と、将来に絶望している人の分裂、これが「希望格差社会」である。』とカバーの折り返しに書かれている。読み終わって身体の力をどこにおいて歩いたらいいか分からないような、ちゅうぶらりんんな感じに襲われました。でも見えにくい先を見やすくしてくれるこうゆう本というのはありがたいもの。本当に過酷な未来だけど。
今日は娘の誕生日だったけど、この本を読んで朝からニコニコの娘の前でテンション低かったかなあと反省。晩ご飯の「お誕生会」はご近所のORITOさん夫妻も呼んで初挑戦のパエリアとタコの唐揚げ。飲まないつもりだったけど、ワインをたくさん飲んでしまった。
投稿者 Ken Kitano : 2005年03月04日 10:50