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2005年05月19日

5月19日 庄内平野

 お世話になってるライターのIさんのお伴で秋田県の湯治場へ湯治に行ってきた。数年前からIさんは患っていて、昨年手術なさってから時々湯治に行っているそうだ。そこの温泉の水をタンクに汲んで毎日のんでいると調子がいいらしく、ポリタンクを車にたくさん積んで秋田へ行ってきた。東京と違ってところどころに桜が残る新緑の季節。山形との県境に近い秋田県のあたりは残雪もわずかに残っていた。東北の内陸にはひっそりした湯治宿が無数にあるようで、車でそうゆう湯治宿の近くを通る度に全部に一泊ずつしたい衝動に駆られるけど、今回は一泊で我慢する。今回の宿(名前忘れた)は39度源泉かけながしの小さな湯治宿。宿泊客は他に一組だけ。ゆっくり風呂に入って、久しぶりにIさんと写真の話、芝居の話、医療の話を飲みながらした。帰りに足を伸ばして酒田の土門拳美術館に行ってきた。15年ぶりくらいだった。ここは日本一って言えるくらい綺麗な美術館だ。ひさしぶりに「筑豊の子供たち」、「古寺巡礼」をじっくりみた。中学生から高校生にかけて近所の図書館に土門拳の本が何冊かあって、集中してなんども読んだ。あのころ読んだり見た写真や文章は今思い出してもしっかりと自分の中に濃密に刻まれていてるものだ。その頃読んだ森山大道さんの言葉や細江英公さんの言葉が何かの拍子にふいによぎることがある。久しぶりに作品をみると、その頃みたいにリアリズムだ!って感じで見ることはもちろんないけれど、土門拳の写真は時間がたっていてもまったくブレがなく(当たり前か)どっしりしていてヨカッタ。実際に今、神社や祭礼を撮る機会がたまたま多いので現実の撮る側の眼差しで見ている自分に気てしまう。あと、「写真を撮ったり、撮られること」が特別だった時代なんだなと改めて思った。フォトジャーナリズムが今とは全然違うあり方だ。
 どこまでも広がる田んぼに水がはってある。田植を終えた水田もあった。春の東北は気持ち良かった。


投稿者 Ken Kitano : 2005年05月19日 20:05