« 9月1日 三越落語 | メイン | 9月5日 台風接近 »

2005年09月03日

9月3日 海の向こうで

 疲れているけどなんだかすぐ目が覚めてしまう。どうしてかと考えているうちに、気がつくと考えていることひとつの事柄に思いあたる。寝る前に耳にしたラジオのニュースで言っていたアメリカのハリケーンによる災害のこと。被害の実態も定かないが、数万人の人が屋根まで浸かっている水の中に取り残されている可能性があるという信じがたいニュース。一部では商店の略奪や銃を使った武装をする住人もいるとか。車を持てない貧困層が町に取り残されたらしい。ニューオリンズに知人がいるわけでも何もないが、海の向こうで起こっている惨事のイメージに、気がつくと神経が向いている。映像を見ていないけど、水没した広大な町が想像される。どうしてこれでもかと、私などの想像力を越えた災害が続くのか。あまりに大きな突然の悲劇にうまく想像力が追いつかないことのもどかしさが、また気持ちに覆いかぶさる。アメリカでなくてもイラクやアフガンでは毎日ニュースにならない膨大な死者が出ているよ、と言われればその通りで、そうした人々へのイメージもまた働かないことにも、また滅入るのだが・・。情報もないし、布団のなかであれこれ考えても何も出来ないが、気がつくと何となくそういったことに心が巡っている。
 今日も暑かった。今日は実家の仕事場でポートフォリオ作り。『our face』のプリントをファイルに収め、キャプションや表紙などを作る。ポートフォリオなどは、細かいことに凝る方である。本を作るのに散々アイデアをだしたり、ダミーを作ってきたのだが、プリントを見せるとなるとまた感じが違う。文字がどうしても絡む写真だが、極力文字を排除しないとポートフォリオにならない。「すばる」のインタビューでうまく説明できなかったこと以来気になっている、「水平」と「垂直」のことがポートフォリオにどう自然に折り込めるか、考える。この横に「連ねる」と垂直に「重ねる」のふたつのベクトルについては理屈でなく、衝動みたいなもの。なんとかシンプルに現せないものか・・。夕方まで試行錯誤。夕方帰ったらそのインタビューが掲載されていた文芸誌「すばる」(集英社)が送られてきていた。全体に好意的に書いて下さっていた。こうして一冊の写真集として出した表現を、文章として言葉にして下さると言うこと自体、ありがたい。寄稿頁の執筆陣をバラバラと見ていたら今福龍太さんが書かれている頁を発見。後でゆっくり読もう。
 昨日は10代向けファッションムック「ケラ!ボーイズ」(インデックスマガジンズ)が送られ来た。こちらには、ケラ写真館という頁で『our face』のこと、「個性」のことを編集長の松村さんから頼まれて書きました。「すばる」、「ケラボーイズ」を書店で見つけた方は読んでみて下さい。

投稿者 Ken Kitano : 2005年09月03日 19:05