2005年11月06日
11月5日 「オリュノオバ物語」
午前中掃除。家がきれいになるってすばらしい。コの字本の企画書を詰める。午後にレオパレス21の配布雑誌を作っておられる田中さんとカメラマンの尾関さんが見える。写真集とお薦めの本についての取材を受ける。というよりほとんど終始雑談。最近読んだ本で5冊挙げる。びっくりしたのは発行部数(レオパレスを借りている人の数とほぼ同じだと思う)が16万部とのこと。そこらの月刊誌の発行部数より多い数の部屋がある。その人たちへの音楽や映像の配信だけでも大きなビジネスになりそう。
夕方世田谷シアタートラムへ「オリュウノアバ物語」を観に行く。満員。岸田今日子さんの声はどうしてあんなに心地いいのだろう。とにかく岸田さんの声をずうっと聞いていたので、ずうっと何か話してて下さい、といいたくなる。内容は、中上健次の「千年の愉楽」が原作。オリュウノオバは「千年の愉楽」の他に「奇蹟」、「17歳の地図」などにも出てくる、新宮の産婆。路地のものどもの誕生に立会い、その死に様を見てきたオバと、極道の限りをつくして若く非業の死を遂げる「なかもとの一党の血」の物語。たまたま『our face』で熊野祭りを見てきたり、今熊野古道の本を作っていて、熊野に通っているので、余計に熊野と中上健次の作品に想像力がたくましくなっているせいかもしれないが、やはり、あの濃密で豊穣な言葉の世界、そしてエロスとタナトスには少し届かないものがあったような気がする。
終演後、久しぶりに茶沢通り沿いにあるもつ焼き「くに」に行く。ホッピーでハッピー党の人たちと飲んでいた頃以来だから5年ぶりくらいか。煙でいぶされたような年季の入った店内の雰囲気は変わっていなかった。カウンター席に座ってビールともつ焼き4本、おしんこを注文する。それとトンビ(豚の尻尾の煮込み、コラーゲンたっぷり、うまい)とホイスを追加。1時間ほど飲んで、しめて2000円。安い。5年の間いろいろな店で飲んだので、改めてメニューやお客さんを見て気がつくこともいくつか。
投稿者 Ken Kitano : 2005年11月06日 10:49