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2008年04月29日

4月28日 お別れ会

昨日は内野君のお別れ会だった。朝からおにぎり(6合分!)と唐揚げを作る。お重につめて電車で新宿へ。昼までニコン受付。午後大阪から着いた友長さんと吉田さんとご一緒に四谷へ。内野君の話からやっぱり我々も体に気をつけないといけないね、特にメタボ体質にはね、などと話しつつ、気がついたら3人で昼飯に天ぷらを食っていた。ダメじゃん、言ってるそばから揚げ物!
お別れ会会場の四谷広場は閉校した四谷小学校の教室を改築した多目的スペース。手弁当の料理や飲み物、遺影や過去のアルバム。モニターで過去のテレビ番組と作品を流す。続々と人がいらして大盛況の会になった。会場のキャパが心配だったがぎりぎり会場に収まった。細江英公さんと高梨豊さんのスピーチが素敵だった。細江先生は夭逝した内野君の写真家としての姿勢と残された作品についてお話になりながらも、僕ら会場にいる写真家に芸術家は芸術家として精一杯生きていきなさい、とおっしゃったように感じた。芸術家が生きて作品を発表するということはすなわち作品を残すということ。その残すということが若いときはなかなか分からない。たくさんの方が内野君を偲んでとってもいい会だった。皆さん、とりわけ福添さんお疲れさまでした。
その後南晶飯店で打上げ。内野君のお陰で疎遠だった中藤とも付き合うきっかけになったし、小平さん、佐原さんはじめ写真の話をできる仲間が増えました。感謝。
その後ゴールデン街で、2時頃まで飲み、ダメ人間になって帰宅。

28日はやや二日酔いでニコンへ。3時頃から終了4時まで4.5人くらい、最後まで名残惜しそうにじっと写真を見ている人がいた。展覧会の最後の時間はいつも独特の寂しさがあるが、今回はまた特別だ。ニコンの田中さん、長町さん、蒲田さん、どうもお世話になりました。終了間際に落合由利子さんが来てくれて撤去を手伝ってもらう。残った書籍類を持って四谷のルーニーとニエプスへ。篠原さん、中藤と話す。お別れ会で大量にあまった15000円分の乾きものを山分けし、落合さんにも押し付ける。

お別れ会で、大阪のことと中藤に第一子が誕生したことをマイクで言えばよかったなあと後悔。大阪には内野君が親身に向き合った若い写真家や学生がたくさんいて、そうゆうひとと東京に集まったひとたちが交流できたらいいのにと思う。内野君は写真って本当にすばらしいものだと若い人に伝えたかったのだと思う。

投稿者 Ken Kitano : 06:55

4月26日 ジャコメッリ

午前中家で雑務。午後恵比寿の都写真美術館。シュールレアリズム展とマリオジャコメッリ展。シュール展はまあこんなものか(僕なりに)という感じ。混んでいて珍しくチケット売り場に行列が出来ていた。ジャコメッリは知識としては知っていたけれど有名な神学校の写真くらいしか印象がなかった。初めてみたがよかった。実によかった。すばらしい写真家だ。静謐ななかに死と絶対的な孤独と人が存在する確かさがきらめいていた。冒頭の辺見庸さんのテキストも2度読んでしまった。ホスピスの老人を撮ったシリーズがあるから、というわけではないけど、なんだか友人の櫻井尚子ちゃんの写真を不意に思い出してしまったので、彼女に遅い出産祝いにと図録を買う。
夕方からニコン内野展受付。

投稿者 Ken Kitano : 06:26

2008年04月25日

4月24日 大伸ばし

作品をピックアップしに車で川崎市市民ミュージアムへ。額からだしたりして作業に時間がかかるかと思ったら既に出されて箱に収められていた。展示に来た時はまだ2月で空気がきりっとしていたが今は等々力緑地は新緑でふんわりした空気だ。学芸員の深川さんとアシスタントの坂本さんと少し話して失礼する。

日本橋のカラーサイエンスラボへ出力の立ち会い。さっきまで勝又さんがいらしたとのこと。何度かニアミスになっている。たぶん内野君のお別れ会でお会いできるのでは。our faceの等身大プリントをラムダで出す。なかなかコントラストと色(モノクロをカラー印画紙で出すのでどうしても色がのってしまう)が難しくて何度もテストをした。時間がかかったけど強くていいプリントが仕上がりました。

投稿者 Ken Kitano : 09:23

4月23日 ルーニー、ニエプス

午前中暗室。九州の中学生の肖像を2年前に焼いたデータでテストをはじめる。同じ印画紙でも同じ露光時間では出ないことが多い。この写真はだいぶ近いデータで行けそう。

午後九段でウエブデザイナーの長瀬さん、クリスさんと会ってサイトリニューアルの相談。このサイトできてからだいぶ時間がたっているのでいいかげん更新しようと思います。

その後新宿ニコンサロン受付に行く。付いたら内野君のご両親がいらした。今日からニコンサロン、トーテンポールギャラリーの他にルーニー247とギャラリーニエプスでも内野君の遺作展が始まった。東京で4カ所。来月は大阪で3カ所で遺作展が行われる。ニコン受付を店じまいした後ルーニーとニエプスを見に行った。ルーニーは初期の「東京ファイル」から芭蕉の道を歩いた「野ざらし紀行」、四国巡礼道を歩いた「空と海の巡礼」、沖縄の「うりずん」などモノクロシリーズ。いいですねえ。トーテンポールの有元伸也さんもいて話す。ニエプスは未発表のまま撮影中に亡くなってしまい部屋に残された160枚の6切りから58点をセレクトした京都の新作展。ざっと見た時にばたばらした印象でまとまるかなと思っていたが、展示を見たら写真同士とてもしっかり呼応していて、見たことがあるよう初めて見る京都の光景があった。
彼は徒歩や列車の車窓など移動を伴う水平方向の眼差しに徹した写真家。写真展や本もいいのだが、写真を垂直的に見ることができるモニターごしの、ウエブやDVDの表現ができたら(これからでもいいのだけど)いいと思った。our face以降持論として僕は、水平と垂直を同時にやる表現でなければならない、と常々言っているけれど、内野君の写真も今まであまり成功したひとがいないけれどモニター表現で垂直的な要素を持てたら、新しいメディアに彼の写真自身がなれたかもしれないな、などと思う。

投稿者 Ken Kitano : 08:32

2008年04月23日

4月19日 暗室  

午前中暗室でour faceアナログを焼く。エディションのリストを作ったしイルフォード印画紙入荷の見通しもついた。今年のプリントのメドがなんとなくたった。年内に30イメージ程度はアナログでそろう予定。秋には海外に取材にでかけたい。しかしこのままアナログを中心に続けていたらあと5年くらいでたぶん目がダメになってしまう気がしている。明るい→くらい→明るいの繰り返しを続けていると目がひどく疲れる。

午後新宿ニコンで内野君の受付。僕は自分の写真展は会場にほとんどいたことがないのに内野君の写真展はほぼ毎日顔を出している。彼は友人知人が多かった。誠実な男だったし人柄も素敵だったけれど、今回動いている内野君の会の面々も互いに初対面だ。文集に追悼文を寄せてくれた方、写真展を訪ねてくる方々の多さと思いの大きさを日々感じる。写真関係でも彼は僕などは思いも寄らぬ広い範囲の人たちと交流があるのだが、それぞれ別な顔を見せていたということが一切ない。話してみるとああ僕の知っている内野君もそう、ということになる。あと感じるのは生前僕は彼の写真をきちんと見ていなかったということ。すまないと思っている。もっと丁寧にたくさんの仕事を見て話を聞いていればよかった。そうしていれば例えばもっと別のことを彼に言えた気がする。

14時過ぎに小田急で向ケ丘遊園へ。川崎緑地の民家園ロケハンと岡本太郎美術館「岡本太郎 立体に挑む」展レセプションと内覧会に行く。民家園は初めて入ったけど規模も大きく楽しい。何カ所かでいずれone dayの撮影をしたいと思っている。太郎美術館はロケーションといい遊びのある迷路のような造りといい、ユニークで楽しい美術館だ。常設展の最初で久しぶりに岡本太郎のあの赤を見て気持ちに力が入る感じがして気持ちいい。いくつか資料映像が流れていて岡本太郎の言葉に聞き入ってしまった。「芸術は芸術から生まれない」。僕は日頃つい「写真から生まれる写真はつまらない」などと口走ってしまうのだけどなんだか勝手に我が意を得た気分。川崎でお世話になった学芸員の仲野さん、杉田さんにお会いする。

投稿者 Ken Kitano : 08:58

2008年04月14日

4月13日 内野雅文展 サイト公開

一連の内野君の遺作展の第一弾、新宿ニコンサロン「車窓から」とトーテンポールギャラリー「ケータイと鏡」がスタートしました。是非いらして下さい。内野君本人がしてきたの展示とはひと味違う、でもいい展示になっていると思います。ニコンサロンの「車窓から」は本人が生前に応募し決まっていた展示。本人が残したプリントをほぼセレクトすることなく展示しています。トーテンポールは代表作「ケータイと鏡」の大きいプリントからセレクトして展示しています。写真集、図録1996-2006、追悼文集の販売もしています。
さらに、「今まさに、内野という写真家を世の中に知ってもらう」ために、友人有志「内野雅文の会」の佐原さんが制作したサイトを公開することにしたとのこと。内容は順次更新されるそうです。内野君の足跡と作品にぜひ触れて下さい。
 ぜひ自動送りで見て下さい。「野ざらし紀行」、「うりずん」、「車窓から」の各シリーズは見入ってしまいました。「ケータイと鏡」は凄みすら感じます。彼は自分の足で歩きながら撮り続けました。水平方向の視線は、紙芝居のようなモニター越しのスライドショーで見た時に、懐かしい見覚えのある、彼方の風景が展開しします。この車窓の列車はどこへ連れて行かれるのか。彼が逝ってしまったからではないが、穏やかに、鮮やかに〈死〉タノトスを孕んだ風景を穏やかに流れ、僕はいつまでも見つめてしまう。
http://www.uchinomasafumi.com/

投稿者 Ken Kitano : 09:44

2008年04月12日

4月11日  来週から新宿ニコンサロン内野雅文展

10日の読売新聞朝刊に〈誠実に「時代」撮った内野雅文〉という記事が出てました。彼の誠実な姿勢が伝わってくるような記事で嬉しくなりました。
いよいよ15日から内野君の一連の遺作展の最初、新宿ニコンサロン「車窓から」展が始まります。
今後の内野雅文遺作展スケジュールは次の通りです。志の高い、優れた写真家でした。ぜひお運び下さい。

写真展(東京)
◯新宿ニコンサロン 「車窓から」
カラー約45点 
4月15日(火)〜4月28日(月)
〒163-1528
東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階・ニコンプラザ新宿内 
tel 03-3344-0565
10:00〜19:00http://www.nikon-image.com/jpn/activity/salon/map/index.htm#shin
(最終日は16:00まで)会期中無休

◯ギャラリーニエプス 「我、上洛スル」
未発表の京都の作品 モノクロ約60点
4月23日(水)〜4月29日(火)会期中無休 12:00〜20:00 
〒160-0004 東京都新宿区四谷4-10 メイプル花上2F
tel/fax:03-3356-8807  
http://niepce-tokyo.com/


◯ルーニィ・247フォトグラフィー 「東京ファイル〜野ざらし紀行」
モノクロ約40点
4月23日(火)〜4/29
2008年4月23日(水)〜29日(火)会期中無休 12:00〜20:00 
東京都新宿区四谷4-11 みすずビル1F
tel/fax 03-3341-8118  
http://www.roonee.com/

◯トーテムポールフォトギャラリー 「ケータイと鏡」 
カラー約20点
4月15日(火)〜4月27日(日)会期中無休 12:00〜20:00
〒160-0004 東京都新宿区四谷四丁目22 第二富士川ビル1F
tel/fax : 03-3341-9341 
http://tppg.jp/
写真展(大阪)
◯大阪ニコンサロン「車窓から」
カラー約45点 
5月22日(木)〜5月28日(水)会期中無休 11:00〜19:00(最終日は15:00まで)
〒530−0001 大阪市北区梅田2−2−2ヒルトンプラザ・ウエストオフィスタワー13階ニコンプラザ大阪内
TEL 06-6348-9698 FAX 06-6348-9588

◯ギャラリー176 「我、上洛スル」
未発表の京都の作品 モノクロ約60点
モノクロ約30点
2008年5月24日(土)〜6月3日(火) 水曜休廊 12:00〜18:00
〒561-0851 大阪府豊中市服部元町1-6-1 tel/fax: 06-6866-2271  http://g-176.net/
http://g-176.net/

◯ギャラリーナダール大阪 「内野雅文追悼作品展」
「ケータイと鏡」、「アイドル」などのカラー作品からセレクトした約20点
5月20日(火)〜25日(日)月曜休廊 11:00 〜19:00 
542-0081 大阪市中央区南船場3-2-6 大阪農林会館B1

tel/fax: 06-6251-8108  ip-phone/ocn: 050-3350-0289
 
http://nadar.jp/
◯「お別れ会」について
4月27日(日)15:00〜18:00
場所:四谷ひろば(四谷第四小学校跡地)3階 多目的ルーム
   東京都新宿区四谷4丁目20番地
会費:1000円(予定)
ご両親にお越し頂きお別れの会を致します。
内野氏と親交のあった方々約70名から募った追悼文集をお渡しします。
事前の参加予約の必要はありません。会場に駐車場はございません。
スリッパをご持参下さい。

◯清里フォトアートミュージアムYP展収蔵作品の展示
1997年度「東京ファイル」から2007年度の「車窓から」に至るまで、同美術館のヤングポートフォリオ展へ内野氏が応募し、収蔵された氏の作品全38枚がYP展会期中展示されております。


<内野雅文追悼作品展> 2007年度ヤング・ポートフォリオ展と同時開催
会期:2008年2月23日(土)〜6月22日(日)
会場:清里フォトアートミュージアム
開館時間:10:00〜18:00(開館は17:30まで)
休館日:火曜日 *祝日の場合は開館(振り替えなし)
〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222  TEL.0551-48-5599

ニコンサロン展と清里フォトアートミュージアムYP展以外の催しは友人有志で企画しております。
(友人有志:小平雅尋、中藤毅彦、友長勇介、林和美、篠原俊之、佐原宏臣、福添智子、下平竜矢、
北野謙、石井仁志、他、順不同)


投稿者 Ken Kitano : 04:27

2008年04月07日

4月6日 東京アートフェア

5日の話。
堀内カラー杉並であがりピックアップ。某ビルから撮ったone day今イチ。
午後佐藤信太郎さんと国際フォーラムで開かれている東京アートフェアに初めて行く。最近アートの世界ではフェアが重要性が増しているらしい。しかし正直アートの見本市というのがよくわからなかった。昨年パリフォトに出させて頂いた。彼の地の様子を聞き驚いた。パリは3日で4万人の来場者があり世界中からコレクター、批評家、キュレーターらが集まるそうだ。今は国や地域で生まれたアートが徐々に伝播するのではない。作品から言説が生まれるより早く市場(というのが実際にあるらしい)に結びつく感じだ。そんな美術のグローバル化はあんまりいいとは思わないけど、そこにのっかっていられないと認知も評価も生まれにくいのだろう。その程度の認識なのでいいフェアには積極的に参加したくもありまた少し怖くもあり。(実際は参加するのは作家じゃなくてギャラリーだけどね。)で、東京アートフェアである。行ってみて、率直にすごく楽しかった。入るとダーっとたくさんのギャラリーがブースを出展している。ギャラリーごとのカラーが様々で面白い。必要なものは何でも使ってしまう現代美術の活力そのままに様々なサイズやマテリアルがある。値段も売れ行きもだいたい分かる。その中に写真作品が時折ある。柴田敏雄さんあり蜷川実花さんあり、森山大道さんあり、東松照明さんもあった。(あと北野謙も。from MEM)美術の中の写真のある立ち位置と断面があるようだった。来場者のうち外国人の率はどのくらいだろう?30%くらいいたんじゃないだろうか。日本のフェアもこれからますます大きくなっていくのだろう。

佐藤信太郎氏と西日暮里に移動して久々に飲む。佐藤さんは5月に写真集と写真集を発表する。楽しみである。内野君も死んでしまったし、深く写真の話をできる友人があまりいないので、つい長時間になってしまった。少し前に若い人と話して、自分の作品を写真の系譜として俯瞰したり、役目を終えたメディアとしての写真のなかでどうゆう方向と加速度を持ちえるのかを考えない人はだめなんじゃないかと感じだ。そんなことを佐藤さんと話そうと思ったけど、途中からダメ人間になってきた。ダメついでに帰りに十条の田やに寄ってチューハイを1杯だけ飲んで帰る。中央線で立ったままうとうとしてしまい、ヤバいと思って気がついたら降りる駅だった。帰れてよかった。

投稿者 Ken Kitano : 22:49

2008年04月05日

4月5日 島帰り

三月末に大阪と瀬戸内に駆け足でロケハン、撮影、作品納品に行って来た。連泊できる手頃な宿が南でなかなかとれなくて、やっととれたのは西成の一泊2100円。泊まってみたら便利だし充分使えました。友長さん、阪井さんと夜に周辺散歩。得難い体験でした。瀬戸内でも一日撮影したが、かすみがひどくてこの季節はだめだった。あろうことか車の調子が悪くなり一日早く切り上げて帰った。また5月に行くつもり。大阪は東京よりも街で撮影しやすいと感じた。街中で一日三脚を立てることは至難なのだが、大阪のほうが懐が広いようだ。ギャラリーMEMにも初めてうかがった。石田さんほかスタッフの方々にもお会いできた。昨日から開催に東京アートフェアにも出展&展示しているとのことなので、今日の午後に佐藤信太郎氏と行ってみる予定。

今週は雑誌の取材で新島、式根島に行って来た。思いの外近い、安い、海が楽しい、歴史が面白い、魚がある、人が素敵、とすっかり魅了されてしまった。近々撮影&旅しに再訪したい。

投稿者 Ken Kitano : 10:07