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2011年08月19日
8月18日 祝杯
福島辰夫写真評論集1、2巻の本文印刷が済み、表紙の試し刷りができあがった。
猛暑が残る夕方5時に西荻窪駅で本尾さんと合流。関東バスに揺られて善福寺の福島先生のお宅へ。
思えば何度このバスに乗っってきたことか。
この1年半お宅へうかがった回数は100回程になるのではないか。
今日は特別な訪問であった。
庶民的な西荻駅前の風景が心なしかいつもと違って見えた。
先生も奥様も体調はよさそうでほっとした。先に3巻の写真を拡げて打ち合わせをした。
1、2巻もものすごい本になったけれど、3巻こそは真打ちという感じ。安井仲治、中山岩太、田本研造、野島康三、高野直太郎それに東松照明である。
絨毯に拡げた100枚ほどの写真の密度に圧倒される。
これを1冊にするのは容易ではない。
本当はそれぞれを1冊にして出すべきだといえる。
歴史の連なりのただ中で、人間を人間でなくしてしまう閉塞とまともに向き合い、
一瞬とも奇蹟のような開放(人がひとであること、個が個であることを)をなし得た、
まさに奇蹟の集積である。その壮絶さを知るべきだ。これが写真だと。
1、2巻のゴールが見えて来て、もうそろそろ編集者から作家に戻れるかとおもってけれど、巨大な山が3つ4つ、数えられないくらい、立ちはだかっているようだ。
7時過ぎに刷りたてほやほやの表紙と本文を持って町口さんが到着。
気の早い阿部さんがお祝いのシャンパンを空けようとするのを制して、町口さんが先生にプレゼンする。
印刷物を写真原稿にした版は、それを知ってみると驚異的な分解と刷りの奥行きだし、1色であることを忘れそうになる。先生はそうゆう事情は一切頭にないので、細かい反応や感想や実感をとつとつとおっしゃりながら頁をめくる。
最後に表紙。全員の顔色が変わる。福島さんにぴったりの静けさと強さがそこにある。きっと誰も見たことのない光を発した本ではないかと思う。
漸くシャンパンを開ける。先生と奥様に花束。その隣には2冊の本。乾杯。
福島先生おめでとうございます。
月末か遅くとも来月のあたまには書店に並びます。
まもなく素晴らしい本が世界に置かれます。
投稿者 Ken Kitano : 12:29