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2011年11月25日

明日からMEMで個展です

明日11月26日からMEMで個展our face projecr:ASIAを開催します。
明後日11月27日は18時よりキュレーターの深川さんと対談企画があります。入場無料です。ご参加下さい。
どちらもだいたい在廊します。
MEM
http://mem-inc.jp/
また個展と東京都写真美術館「写真の飛躍」展について詳しくは[INFORMASION]サイトをごらんください。

なおMEM展会期中に対談企画が増えました。
メキシコ美術についての対談もすることにしました。
メキシコ美術研究の第一人者で加藤薫先生(神奈川大教授、著書に「メキシコ壁画運動」(現代図書) 、「ディエゴリベラの生涯と壁画」(岩波書店)など)との対談です。
対談:12月16日(金) 18:30〜 (予定)

メキシコ美術とour faceについての関わりについては、発売中の『美術の窓』12月号(生活の友社)にインタビューが掲載されています。北京三影堂でのラージサイズ制作についても詳しく載ってます。

明日からなのに、いまステートメント書いています。
短くまとまりそうにないな・・・。

投稿者 Ken Kitano : 21:40

2011年11月24日

メキシコとのご対面

今週末からのMEM個展に、our faceが始まるきっかけのひとつになったメキシコ壁画運動の写真を2点展示することにした。僕にとってメキシコとの出会いはで重要だった。レクチャーや対談でもときどきメキシコのことをお話してきた。「自己と他者」の合わせ鏡のような関係をドラスティックに、壮大なスケールで繰り広げたのが1920~40年代のメキシコ壁画運動。

ちょうどタイミングをあわせたように先週上海の建築雑誌からメキシコの写真の掲載依頼が来た。またメキシコ美術研究の第一人者でいらっしゃる加藤薫先生が今月岩波から「ディエゴリベラの生涯と壁画」という大著を上梓なさった。(加藤先生とはかつてペルー、アンデスの教会建築の調査旅行にご一緒させて頂いた。)そんなわけで期せずして、懐かしいメキシコとの「再会」が続いている。

それで改めて仕事場を探したら、昔焼いたメキシコのプリントやポートフォリオがたくさん出て来た。(西洋からの)他者。(こっちはそのまた他者なわけだけど。)世界を見つめる「内側から」と「外側から」の2つのベクトルがたえずせめぎあう様など。かつてメキシコに足を運んで触れたことは、よく考えるといま僕がやっていることの下地になっていると思う。(残念ながらメキシコの写真は作品にならなかったけど。ただやってたなー、あの頃、という感じはある。)

そんなわけで個展会期中にメキシコ関連のイベントもしようかと画廊の石田さんと相談中です。決まったら情報をアップします。

今年は福島先生の本の仕事もそうなのだが、自分のルーツを見つめ、総括することが続く。そうゆう時期なんでしょうか。自分でも不思議です。何かの大きな区切りなのか、始まりなのか。総括して、まっさらなところから新しいことを始めたい、という気分もあり、また過去に経て来たこと同士やこれから経験することを接続したい、という感じもしています。

本日は額装のマットを届けにうちの奥さんと恵比寿の画廊へ。(娘は学校のイラスト部の〆切なのだそうだ。)昼は恵比寿の定食や「こづち」でレバニラ炒め定食、奥さんはカキフライ定食。「こづち」は祭日でも営業。恵比寿における心のよりどころ的な頼もしさである。

夜テレビで立川談志さんが亡くなったことをニュースで知る。袴田さんから明日飲みましょうとメ―ル。

投稿者 Ken Kitano : 09:06

2011年11月17日

個展準備

MEM個展の作品セレクト終了。ヤマト便でマット装に送り出した。
12年間のour face projectはアジア各地で150作品くらいになるだろうか。そこから選ぶので時間がかかった。
初めてour face project:Asiaの全体像を通してみることができた。エリアや集団の背景の偏りが見えた。旅によって出会う人が違うこともわかった。写真集にまとめることも平行して考えている。
個展では限られたスペースでこの12年間のour face projectの、ある程度全貌を見て頂ける内容になると思う。今年でアジアに区切りをつける。来年までかけてそのまとめの作業である。

今回同時期開催の東京都写真美術館のグループ展「写真の飛躍展」と平行して仕事を進めながら考えたことのひとつに、このシリーズのドキュメンタリー的要素(ジャーナリズムではない)の重要性があった。現実と対抗するものが虚構であった時代が終わったいま、現実の向こうには現実がある時代だと大沢真幸さんが書いていた。(最近見田宗介さん、大沢真幸さんを読んでいます。)すぐ目の前の現実と、向こう側の(重く厳しい)現実をつなぐ回路が必要な気がしている。(普段新聞やテレビの大手メディアを見ていると、2つの現実があるような気がしてならない。遠くのシリアスな(本当の)現実と、目の前だけで完結する現実と。完結するわけないのだが。)
それと昨年中国以降、「切断/接続」という写真の基本機能を確認できたことも、この1年の収穫だった。

[information]サイトに詳しくアップしていますが、2つの展覧会の概要です。
北野 謙 個展
our face project:Asia
2011. Nov. 26. Sat ~ 2012. Jan. 29. Sun.
年末年始休廊 12月26日−1月6日
月曜休廊 close on Mondays
対談企画 11月27日(日)18:00~
深川雅文(キュレーター)×北野謙
(その他のイベントも決まり次第お知らせをアップ致します。)
MEM 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F
Tel. 03-6459-3205
http://mem-inc.jp/

日本の新進作家展 vol.10 写真の飛躍 elan photography
Contemporary Japanese Photography
東京都写真美術館 Tokyo Metropolitan Museum of Photograhy
2011. Dec. 10 Sat. ~ 2012. Jan. 29. Sun.
close on Mondays, Dec. 29. ~Jan. 1,4
http://www.syabi.com/
出展作家:添野和幸、西野壮平、佐野陽一、春木麻衣子、北野謙
対談 1月14日(土)15:00〜
大竹昭子(文筆家)×北野謙
フロアレクチャーの予定 12月23日(金祝)18:30〜20:00、1月2日(月祝)11:30〜12:15

福島辰夫評論集3巻は、パリフォトで作業が中断しています。お待たせしております。
年明けの刊行を目指しています。しばしお待ち下さい。
光田ゆりさんの書評が週間金曜日10月20日号に掲載されました。
MEM主催の連続講座も始まりました。
近く出るアサヒカメラに福島先生のインタビューが載るようです。

投稿者 Ken Kitano : 10:36

2011年11月09日

・・・暗室・・・

今週はパリフォトだが、今年は行かない。
本当は今年も行ってお会いしたい方や空気を吸って刺激を受けたいのだけれど。
自作とお客さんがどんな対話をしているのかを見るのに毎年パリはとてもいい機会だった。

12月10 日からの写真美術館グループ展「写真の飛躍」と11月26日からのMEM個展の準備で動けない、というのもあるのだが、今年パリに向けてのプレゼンするものが用意できなかったから、というのが大きい。
新しいものを吹き込まないとパリは評価してくれないので、ここ3年間毎年パリに向けてチャレンジをぶつけて来た。今年は福島評論集の大幅な遅れその他もあって、予定していた制作がすっかり飛んでしまった。
これほどドラスティックな現実のただ中にあるのに、過去と向きあう仕事から離れられないのは仕方のないことなのか。
制作すること(と考えること)で現実にいま踏み出せていないことにたまらない焦りといらだちを感じている。
今日も暗室。アジア各地の残して来たプリントを作っている。いささか消化試合のようである。
未来に対して踏み出せないことにどうしようもなくいらだっている。
この焦りは動けないことからくる焦りである。

かつて「今、ここ、わたし」的写真が全盛だったころ、僕は肩身が狭かった。僕にとって「今、ここ、わたし」はほとんど「彼方」のようだったし、僕は「他者や彼方」を経由してようやく目の前の現実にコミットできた気がする。だから僕は目の前の現実と遠くの現実の回路を結びたい(回路になりたい)と、思って来た。
あれから時間がたって、「日常」と「現実」がかけ離れていた時代はとうに終わっているのである。
いま僕にはすべきことがたくさんあるのではないか。こっちの現実がちっとも追いつかないことへのいらだち。

過去の総括を早々に切り上げ、未来にコミットしたい。アジアで考えて来たことをしっかりまとめて、出来たら来年アメリカに行きたいと思っている。

今日でひとまずプリントを終わらせるべく、さて、今日も暗室へと行くとします。
個展まで2週間しかない。
多すぎるくらいのことを精査、選択して、インスタレーションに落とし込まないといけない。
写真の引き算とは違う、チョイスと組み合わせ。

投稿者 Ken Kitano : 09:00